Prologue Cambridge days



この日記は僕のケンブリッジに滞在した記録。
つまりノンフィクションだ。


名前はノゾム、21歳。
札幌学院大学に在学中の4年生。
といっても、それは1991年の話。


母の知り合いの勧めで9月から12月までイギリスのケンブリッジに短期留学することになった。


大学時代のことをちょっと紹介しよう。
経済統計学のゼミに入っていた。
特に何かに打ち込みたいというほどの情熱はなかった。
選んだ理由は『楽』だから。
卒業論文を書かなくてもよかったのだ。
今思えば堕落していた。
でも、そのおかげで僕は異国の地で貴重な経験をすることになった。
結果的に良かったのだと思う。
この留学については、もちろんゼミの是永先生には了解済みだ。


僕の暮らしていた街、江別市文京台
大学から近い『メモリアルパーク文京台』というワンルームのアパートに住んでいた。
文京台は、JR札幌駅まで快速だと10分少々で着く位置にあり家賃も安い学生街であった。
ケンブリッジへの出発が決まり、アパートは7月に引き払った。
結局4年生になって大学に行ったのは2回だった。
大学の単位は3年で終わっていたし、2年生のときのバイクの事故で右足はガラスの右足となっていたから地元での就職活動をしていた。


2007年、僕は36歳。
あと1ヶ月で37歳になる。
妻、長男、長女、母とごく普通の暮らしをしている。
パーソナルな部分でもON&OFFで充実を感じている。


先日、年末の大掃除をしていたときにケンブリッジ時代のダイアリーが見つかった。


ケンブリッジにいた頃、毎日欠かさなかったもの。
それが日記。
毎晩寝る前にベッドの上に座り、ある時は寝そべって欠かさず書いていたものだ。


読み返してみると、その当時の幼稚な文章と表現に恥ずかしさを覚えるが、そのことが逆にノスタルジーだったりもする。
一気に僕の思考はケンブリッジにいる21歳の僕になっていた。


当時の思考に対する現在の思考はまた違った感覚だ。
その感覚がとても新鮮に感じた。


1991年と2007年の気持ちと向き合ってみたい。
そしてその気持ちを綴っておきたい。


また、一緒にケンブリッジを過ごした仲間に送りたい。